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洞窟ホームレス株式会社VSFXマルチ商法詐欺

洞窟ホームレス株式会社VSFXマルチ商法詐欺

文章のみの4クルー目の16

キリンビール、仙台市下水道課、清掃機械業者~)

さて、そのあとは、キリンビール、仙台市下水道課、清掃機械業者~と訪問して回った。
アポをとると電話で待たされるので、直接行った。
結果、そこで、清掃の方法を調べるために、六郷堀、七郷堀を調べた。
六郷堀、七郷堀には、農業用水の利用がない冬季には水が流れないため、水の潤う水路の復活や景観回復、生活排水などの流入による悪臭対策など、通水により改善してほしいとの地域住民から要望がよせられ、通水のテストにより改善が見られたとあった。
とすると、ズイ道の汚泥は、水が運んだ汚泥にはちがいはないけど、閉鎖以降に田貯められた汚泥なのかもしれない。また、これも、通水によって流しだすことができるかもしれないということになった。
たしかに、4本の吐水口の1本からは水が出ている。しかし、取水口には水は来ていない。
とすると、水を吐き出している吐水口の水がズイ道に染みだしている地下水ということになる。

では、どうやったら、水を引き入れられるのか?いや、もともとどのように水を引き入れていたのだろうか?

そこで、取水口にあった「東北工大」の文字を思い出し、大学を訪ねることにした。
おそらく、研究結果があるはずだ。

「東北工大」)
ここまでは洞窟から急激な坂を上る。
「フンガー」 林太郎さんさけんで自転車をこぐ(**大学に登っていく)

学務室に行き、M先生にお話をおうかがいしたいのですが、と話す。
(ネットで調べたら、東北工大でM先生がこのズイ道を調査した記事があった。)

過呼吸の対処のポスターなどが目に飛び込んでくる。
先生は研究室に不在。
どうしたら、ご連絡がとれますか、と聞くと、こちらにお電話くださればということで学務室の代表番号を書いたものをもらう。

後日、タウンページで先生の番号に電話をするが「近くにおりません」のアナウンスで切れてしまう。

そのうち、洞窟に来る、広瀬川の上流での芋煮会を趣味とするひとから、川の流れはすぐ変わる、5年くらいで前は芋煮ができている河原がまったくなくなることもあるという話から、もともと取水口のところまで、つまり50メートル今よりも入り組んで、広瀬川が流れていたのではということで、先生へのアポ取りをやめる。



地下(パリンカ)
時間先へ。リンちゃん、ショウタなど)

リョウさんとアツシが経ケ峰のパリンカでスパゲティを食べている。
洞窟の先にある坑門だけコンクリートの謎の穴が、川内青葉城の下(追廻住宅の奥)までつながっていることをタカハシさんが確認した。「仙台愛宕下水力発電所導水トンネル」の部分になる。内壁には数箇所、奥行き3mくらいの横穴などが掘られている。「横穴に迷わないように」の意味もあり、タカハシさんが灯りを設置し、中を歩けるようにした。古い碍子や電線が、洞窟株式会社の場所の壁面にたくさん這っていたので、それを使った。
パリンカや博物館に行く時にはここをなん度か利用した。
水深は入り口付近だけは20cmくらいのところが20mほど続くので、長靴で歩く。
最初は泥や水で歩けたものではなかったが、タカハシさんが、七郷堀の泥をよける器械をかりてきて、泥をよけ整備した。七郷堀というのは、洞窟株式会社より下流の対岸側にある、農業用水路で、広瀬川から水を取っている。



洞窟とズイ道)

洞窟株式会社が最初使っていたのは、越路の「青葉電気工業発電所」に事務所や管理所がったろう箱の部分だ。
ここから川内に1.4キロメートル伸びる水路「仙台愛宕下水力発電所導水トンネル」があるがそこは当初はベニアで封鎖して行かないようにしていた。

林太郎さんがとりあえずの仕事をする場所、のちに寝るための場所 ということで使っていたのは「青葉電気工業発電所」の箱の一部の明るい場所部分だった。
これが2週間目から紙類に湿気を帯びてきたことに気付いた。
1ケ月目あたりに、タカハシさんと湿気の相談をした。
2ケ月も立てば、電子機器はやばかろうというところまで湿気の深刻さを体感したのだ。

そこで、湿気をどう除くか、湿気をどう防ぐか、を考えた。

湿気をどう除くかについては、タカハシさんが、東北大学の医学部の解体のときに廃棄された空調機械を見つけ、それを運びそのまま使って、箱部分は快適にすることができた。
電気は、愛宕神社からの盗電もあったがさすがに気が引け、林太郎さんの知り合いの解体屋さんから、高齢者の家屋を解体したときに出た屋根の上の(おそらく、悪い業者にだまされて付けさせられた感があった)ソーラーパネルを2戸ぶんもらい、それを設置した。

湿気をどう防ぐかについては、タカハシさんが、この箱の部分に湿気を運んでくるのはズイ道ではないかと仮説を立てた。
そこから、タカハシさん、リョウさん、林太郎さんによるこのズイ道の探検がはじまるのだが、湿気をどう防ぐかについてはズイ道部分と箱の部分を完全に閉じてしまうことにした。


ズイ道の探検)
ズイ道の探検は、林太郎さん、リョウさん、タカハシさんとで行った。

タカハシさんが、ズイ道につながるトンネルを、箱の部分の先50メートル先に見つけていたので、箱の部分とズイ道を閉鎖しても、ズイ道に出入りができた。

だんだん上流に行くにしたがって汚泥が多くなり、出口(水力発電施設の取水口)につくころには、ズボンはどろだらけになってしまった。

図化したほうがわかりやすいので図化する。


この出口には、実はホームレスがビニールシートでつくったテントに20人生活している。そして、そのホームレスとまたひとつのことをやりとげたのだが、それはすぐ後で話す。


この地図をおこし、ヌマさんも含めて検証した。
これには、リンちゃんとコハルはひややかだった。

リョウさんの見解だと、この水力発電所は構造上の欠陥があったのではということだ。つまり、この取水口から、箱部分(おそらくは発電所部分)までの高低差はわずか1.4メートルだ。
そして、取水口からまもなくのところで、大きく1回カーブして、また直線でここに来る大きく1回カーブしたあとも、広瀬川に向かって4本の吐水路がある が、その役目は、汚泥を外に流すためのもので、だんだん下流に行くにしたがって濁りのない水が発電機の水車を回したのではというのだ。

そころが、現実は大きなカーブで速度を失った水は汚泥を底に沈めてしてしまい、カーブ後まもなくの部分を汚泥でふさいぐ結果になったのではないかというのだ。
たしかに、速度を失う部分にダイナマイトでもふきとばしたような横への待避道が乱暴につくられているので、詰まったから、別な道をつくったというのも考えられなくもない。


当初は、この湿気のもとである大量の汚泥をどうやって取り除くか?ということを考えていたが、その計画は、つまりは箱部分に空調をつけることでクリアした ので、林太郎さんとヌマさんはこの計画から離れたが、タカハシさんとリョウさんはこのズイ道を改良することで遊んでいた。

つまり、タカハシさんとリョウさんはホンキでこのズイ道の活用を考え始めたのだった。



追廻住宅のホームレス)


ホームレスは現在はダイエー前の地下道に4人、追廻住宅の先に10名、勾当台公園のステージに3人、西公園の旧仙台市図書館の南に1人、仙台駅の地下鉄に 続く道に夕刻になると寝るひとが1人、夕刻になると、仙台駅の歩道橋の下のスペースの浮浪者が入らないようにつけられた鍵をこわして自分のかぎをつけてそ こに寝床をつくるひとが1人、それから路上に点在というのが仙台の状況だ。
有名なひとでは、自転車をひきづって歩いている国籍がネパールあたりの感じの民族衣装風の日本人女性がいる。いろんなところに自分の荷物をくくりつけた自 転車をなん台も所有している。(仙台では街中に自転車を置くと15分で「放置自転車」として撤去されるが、この自転車は撤去されない)。

ホームレスは、以前は、仙台駅にもたくさんいてNHKの番組にもあった。
榴ケ岡公園にも村が出来ていた。

ホームレスは日中は、多くは、移動せずにそのテントの中にいる。
移動するひとたちは、宮城県の県民の部屋でテレビを見ているか、メディアテークの図書館に多くいる。
洞窟株式会社に、ソーラーパネルをくれた解体屋のSさんは、友達に「いやぁ、仕事なくてもう行き場ないんです」と冗談で言ったら、「それなら、図書館がいいらしいよ」とホンキで勧められたと言って笑い話にしていた。


東京のホームレスは、アルミ缶を集めて回ったり、古い雑誌をJRのゴミ箱から拾って池袋や新橋で売ったりするが、仙台のホームレスはその仕事がなく、せいぜいぎんなんが落ちる時期にぎんなんを拾って公園で果肉を落とし路上で売るくらいだ。



その追廻のホームレスがまさに、洞窟のズイ道の取水口にいる。

ホームレス土木工事会社)
東北工大のM先生の手をわずらわせず、ズイ道までの水路をヌマさんが設計した。

追廻のホームレスにズイ道への水のひきこみ堀を掘ってもらう
ために、ヌマさん、リョウさんで背広を着て頼みにいった。
近づいただけで「オレたちだって、好きでこんなことしてるん
じゃない」とどなられた。

ヌマさんを追いかけてきたホームレス。**大学の同級生だっ
た。
**大学の同級生は東京でホームレスをしていた。
アルミ間集めの人が東京にはいる。
六本木麻布10番ではブランド物の衣類が家庭ごみで出ていて
、ネットで売れたと言っていた。
麻布あたりのホームレスはおしゃれな格好をしているらしい。
看板持ちもやった。1日6000円だそうだ。
でぶの警官が交番の前に警防を持ってたっているけど、あれは
時給でいくらなんだろうと言った。
役所でも、ぼーっと立っている掛のひとがいるよと言った。
時給だと3000円くらいじゃない?

東京で本当のものごいスタイルの女性のホームレスを見かけて
いやになって、キセルで仙台に来た。
学生時代にバイトしていた印刷屋を訪ねたが、もう会社がなか
った。

キセルは前のひとの荷物に、自分の荷物をかぶせてセンサーを
1人と錯覚させること。
宮城県庁に相談に行ったが、県民の部屋で会った失業者に追廻
を教えてもらって来た。

ヨソモノはここでは、ぜったいだめ。
背広は拒否られる。
自分が頼んであげる。
費用は、提示した金額の3分の1でいいといって、お金を預か
った。
領収書には「ホームレス土木工事会社」と書いて来た。

水路完成と汚泥処理)

水路は2週間でできた。
泥が入りこまないように、洞窟にあったコンクリートの水路を
夜にホームレスたちで運んでくれた。プラス2万円。渡したお
金で3人が追廻を去った。
水路に水を通す前に、1つずつ水の出口を洗うために、ほかに
流れないようにせき止めた。
3ケ月かかり、全部を流しきった。
地下水が山のほうの壁面にしみるので、なるべく排水4本に流
すように側溝をつくった。
作業中にリョウさんがオバケを見た。
イメージ:いかれたご祈祷師が叫んでいる

タカハシさんが中をきれいにそうじした

三居沢博物館でリンちゃんが入り口の照明がきれいといったの
で、タカハシさんが再現していた。
リンちゃんにここに来てもらうように一部にページェントラン
プをつけた。
これが、捨ててある場所があるという。え?再利用しているん
じゃないの???よくわからない。
かなりつないだあとがあるけど、タカハシさんの苦心が見えた

リョウさんがオバケを見た話で、リンちゃんは入りたがらなか
った。
この話以来、視線をはずして後ろをじっと見ておどろかすのが
、はやった。
(のちに、発電のときに、コハル、リンちゃん含めみんなで明か
りの中を歩いた。
黄色い照明だけでなく、いろんな色の照明もあって、タカハシ
さんの見せたい感じが伝わった。)

取水口のほうで広瀬川の工事を行い、大規模に水をここに引き入れ、その際に、汚泥を除けて流し続ければいずれきれいな水路になり、その後、その水を干上がらせればもっときれいに整備できたのだろうと思う。


リンちゃんやコハルは20メートルくらいから入りたがらず、男性軍だけがここを利用した。
この穴は、江戸時代に、伊達政宗が城への近道を作った、いわゆる藩政時代の抜け穴などという噂がある。「仙台愛宕下水力発電所導水トンネル」はそれを利用したのだと。または、広瀬川の水流が異状に多くなったときに、水を逃がすための穴だとか、軍事倉庫として使われたとか、いろんな話があることがあとでわかった。
実際は、これは洞窟株式会社の場所と本来はつながっていて、洞窟株式会社との境界が中途半端に閉鎖されていることがわかった。
昭和初期までは青葉電気工業発電所の一部だったが、その後「横穴」が防空壕として掘られ、使われたというのが正しいと思う。

この「仙台愛宕下水力発電所導水トンネル」には、コンクリートで作った、仙台四郎とビリケン、涅槃仏を祭る計画があった。涅槃仏はこの山の上の廃寺になった寺に戦前まつられていたものを復刻したいと林太郎さんが言っていたが、そうすると宗教施設みたいになるとみんなの「反対」をうけた。。

リョウさん「ショウタはリンちゃん知ってるのすか?」
アツシ「知らないでしょ。リンちゃん顔出ししてないし。『実は共通のトモダチが』ってのはありそうだけどね」
リョウさん「リンちゃんとコハルってイメージマ逆だべや」
アツシ「マ逆?ふたりとも、けっこう可愛いけど」
リョウさん「つまり、コハルは秋葉っぽいしや、リンちゃんは新宿だべ」
アツシ「あんまり東京詳しくないんで、わかんないですけど、リンちゃんメイド服とかも着るっていってましたよ。コハルがたまにする『めがね』にイメージ引きずられているんじゃないですか?」
リョウさん「AKBと椎名林檎だべ」
アツシ「リョウさん、風俗の話が壊れたとき、ショウタはどんなんだったんですか?」 デリヘルの一件のときのことをアツシが聞いた。


「『リョウさん、やばいっすよ、小出さんは普通のひとじゃないんすから、やられちゃいますよ』って言って、プラザに来たんだぁ」
アツシ「おどしですか?」
リョウさん「まぁ、こちらを心配しているような感じだったけどや」
アツシ「でも、結局、その月の分と、翌月の分のショウタの給料をリョウさんたちに持たせたんですよね」
リョウさん「そう、ほんとはもっと年内分みたいなこと言ってたんでがすとわ」
アツシ「だって、計画座礁したんなら、小出さんに出したカネもどるんじゃないんですか?」
リョウさん「いや、あいつらはやくざだべ。『赤上げないで白下げないみたいな』論理なんだっちゃ。結局や『ショウタくん、これ彼らカネないから来月まででがまんして』とか言ってやぁ、まず、ひでぇもんだ」
アツシ「芝居だったんじゃないですか。打ち合わせた」
リョウさん「んだなぁ」
アツシ「ありえますよ」
リョウさん 「んだなぁ。でも、もう関わりたくないって気持ちの方が強くてやぁ」
アツシ「ボクはショウタは許せないですよ。自分のこともあるし」
リョウさん「ショウタさやられてたんだべ、高校のときにや?」
アツシ「中学の同級なんですけどね、高校は近所だっただけで」
リョウさん「で、カネとられてたんだべ?」
アツシ「貸してと」
リョウさん「変わんねーこどやー」
アツシ「まあ、でもその当時はグループでしたから。でも、別にショウタがみんなに意見できない立場でもなからですからね」
リョウさん「ひとことでいうとなにすか」
アツシ「まあ、卑怯者ですよ」
リョウさん 「言えるかもしんね。アツシくんから見てリンちゃんはなじょしたもんや?」
アツシ「 あんまりータイプではないんですけどね」
アツシ「彼女の口癖『いいねぇ』とか言うの好きですね」
リョウさん「ああ、音楽聞いてたりとかのときかたってんなぁ」
アツシ 「で、彼女って一緒にいるとみんなといるときと違ってこう近しくなるじゃないですか」
リョウさん「ツンデレすかわ?」
アツシ「そういうの、ツンデレって言うんですかね」
リョウさん「いいこだぁ」

アツシ「コハルもいい子ですよ」
リョウさん「『シニヤガレ』が口癖のなっ」
アツシ 「あー、言ってますねー。なんか気に入らないひとのことを話していると」
アツシ、リョウさん 「『シニヤガレ』」(同時に)
アツシ「でも、コハルって朝に来ると水の入れ替えとか、掃除とかやっているでしょ。あれえらいと思います」

リョウさん「彼女、くじけないところあるおんな」
アツシ「『また、がんばればいいよ』」
リョウさん 「言う、言う。言うなぁ」
アツシ「で、手紙くれる」
リョウさん 「メールすか?」
アツシ「いや、手紙、、、くれますよ」
リョウさん 「あ、そうなのすか」
アツシ「…」

リョウさん「林太郎さんはどだべ?」
アツシ「林太郎さん…。うーん。少年?って感じ」
リョウさん「おれら、情けない青春だべや」
アツシ「『よくやってるねー』とか、言いますね」
リョウさん「声かけを意識してるんじゃねぇのすかや?」
アツシ 「かもしんないですけど、まあ、見てくれてるって言うか」
アツシ「なんかしくじっても『きみはよくやったよ』みたいに言うし、なんかで精神的にへこんでると、『なんだい、かおいろわるいこだぁ』って方言で言ってきますよね、そういうとき」

リョウさん「やすんでいったらいいっちゃみたいなかや」
リョウさん「ヌマさんは、なじょだべ?」
アツシ「よくわかんないな」
リョウさん「あ、それアツシくんの口癖だっちゃ」
アツシ 「そうですか?」
リョウさん 「んだ、あと『ほんとですか?』な」
アツシ「ほんとですか?」
リョウさん「おれは、なじょだべ?」
アツシ「リョウさんの口癖?…『きみの夢なに?』。みんなに聞いてますよね」
リョウさん「目標を明確にだべや」
アツシ「そうですか?」
アツシ「で、いろいろ心理学的なこと知ってて」
リョウさん 「知ってて」
アツシ 「自分では、やらない」
リョウさん 「え、できてねぇのすかや?」
アツシ「うーん」
アツシ「けっこう、リンちゃんとかおこらすじゃないですか」
リョウさん「んだかやぁ?」
アツシ 「そうですよ、心理学の大家が」
リョウさん「大家じゃねえべや」
リョウさん「そう?」

アツシ「うーん。よくわかんないな」
リョウさん 「あ、言ったべや」
アツシ「…」
リョウさん「ひとを傷つけないために言ってねすか?その言葉」
アツシ 「…」
リョウさん「あ、おれ、やっぱできてないかもしんね」

ズイ道の崩落)
地震があった。
ズイ道が崩落し、通りづらくなった。
新たな横道が見つかったが、探検していない。
おそらく、向山の地下にひろがるア炭鉱の跡かあるいは、戦時中に掘られた防空壕か、あるいは縄文人のエゾ穴とつながったのだ。
地震以降はあまりズイ道は使われなくなった。

ペキンダック
長瀬と2つの箱)
間島社長は倉庫に使っていた場所の一部を事務所にして、宗教法人が使っていたところにあった事務所をひきあげた。経費からすれば、逆に、事務所のあった場所に、商品をひきあげてきたほうが安い。大家の追い込みが腹立たしかったのかもしれない。
倉庫に間島社長の会社の事務所は移された。

いつもシャッターは閉められ、シャッターを開けると警報がピピピとなり、それが呼び鈴の役目を果たしていた。林太郎さんはそこを通るたび名刺を刺して行った。
会社の前で、人を見かけるのは少ない。郊外の住宅地は、おそらく昼間の人口は少ないのだろう。まれに、男性が立っている。(警察の張り込みだろうか?)と思った。そういえば、強制捜査のあとにモトさんと間島社長と会ったときには、「警察が強制捜査の前に間島社長を尾行していた」ことを言っていた。「どこそこに行かれましたね」、と言われ、(あそこにいたんかい)と思ったと話していた。強制捜査のあとに、ここで白いソックスを履いている(営業職ではありえない。営業は紺色のソックスに決まっているから)のが印象的な50か60くらいのさえないオヤジが間島社長の会社の前に立っているのを2回見た。
「あの、(林太郎さん)さんですよね。」
林太郎さん「はい」
「あの、大阪の研修会で…」30歳くらいの、垢抜けた男性が話しを続けた。
林太郎さん「は」
「大阪の研修会で花田社長と一緒におられた(林太郎さん)さんですよね」
林太郎さん「はい」
「わたし、そこでお会いした長瀬です」
林太郎さん「あ、そうですか。あんまり、ひといたんでよく…(おぼえてない)」
長瀬「間島さんおられないんですかね?」
林太郎さん「間島社長はほとんどこちらに居ませんよ」
長瀬「そうなんですか」


長瀬「ネットってどこか使えるところありますか?」
林太郎さん「仙台は、ネットカフェとか、、、メディアテークとか」
長瀬「ネットカフェ、どこかあります?」
林太郎さん「はい」
長瀬「お車ですか?」
林太郎さん「いえ、バスで」
長瀬「ネットカフェ、教えていただけますか?」
林太郎さん「あんまり詳しくないですけど(関わりたくないな)」
長瀬「お願いしていいですか」まちの駐車場につくと長瀬は大きなみかん箱を2個降ろそうとした。林太郎さんは聞いた。
林太郎さん「荷物ですか」
長瀬「ええ、書類ですけど」
林太郎さん「ネカフェ、大きな荷物持ち込めないですよ」
長瀬「そうですか?」
林太郎さん「たぶん」
長瀬「仙台のネットカフェは泊まるにはどうですか?」
林太郎さん「東京みたいに音楽は流れていませんけど、うるさいところはありますよ」
長瀬「そうですか?」
林太郎さん「耳栓するといいですよ。まにあわせなら、パチンコの玉を耳に入れてもいいし」
長瀬は(書類をあずかってほしい)と言った。
林太郎さん「置く場所、私の事務所、鍵を今なくしてしまって、倉庫ならあるんですが」
と洞窟まで案内した。
長瀬「ここですか?」
林太郎さん「昔、防空壕だったようですよ」説明が面倒なので、防空壕ということにした。
長瀬「あ、机まであるんですね。すごいですねー」
林太郎さん「ええ、まあ」
長瀬の車に乗せてもらい、洞窟まで行った。途中、仙台の運転マナーが悪い事を長瀬にわびた。
長瀬が持ってきた2つの段ボールは書類が入っているという話だった。そのまま長瀬はその段ボールに布をかぶせて、自分のカバンを置いたまま、国際ホテルに行くと言って洞窟を出て行った。

「アルファ」の被害者のおこした訴訟がある。「アルファ」と今回の事件でスキームを組んでいるのが長瀬の「電子マネー化」の会社だ。林太郎さんは思い出した。長瀬の会社の代理人が、長瀬ら関係者との連絡が取れなくなったため、平成22年6月15日時点で、辞任を検討している。その長瀬だ。長瀬の失踪については、ネット上に「10/06/18 長瀬の会社、電話止めた。逃げた」と書き込みがあった。

長瀬の履歴はほとんどがきなくさいものだった。長瀬は「アルファ」に関わる前に、「ニューロード」という大きなマルチを除名になっている。「アートドット」という絵画を商材にしたマルチをやっていた。そのマルチの儲けを元手に外国人で著書のあるロースと組んでペーパーのオフショアビジネス「電子マネー化」の会社をはじめたのだ。


長瀬の携帯もつながらなくなった。段ボールやカバンは2週間はあったが、2週間後、林太郎さんがそれらがなくなっているのに気付いた。また、長瀬が来たのか?入口には、自転車のチェーンが巻かれて鍵がかかっていたのに。

長瀬が7億円を持ち姿を消しているという掲示板の書き込みを見ていたら、ヌマさんが「あれって、その7億だったんじゃないの」とあの段ボールの箱のことを言った。
イメージ:洞窟内の大きなテーブルの上に積まれた7億円をのぞきこむ7人

「まさか、だって、いったんは置いて行ったじゃない」と林太郎さんは言ったが、なんとなく、「あー、あるかも」とみんなが言って落ち着いたが、結局そこにはなにもないのだった。

4ケ月後、洞窟の先のズイ道からの横穴で長瀬の空のカバンが見つかった。この洞窟の先は川内の仙台城の下の空き地につながっている。
長瀬の空のカバンが見つかった横穴は、途中で浸水しているために長靴があっても先には行けない状態になっていた。


長瀬と中国人)
長瀬の記事が出た後、長瀬がまた洞窟に来た。駆け込んできたといったほうがいい。洞窟にはコハルしかいなかった。そのあとに、どなり声がした。コハルは洞窟の先ズイ道のほうに駆け込んだ。中国語が聞こえた。ひとが帰らない。洞窟の先には川内につづくトンネルがある。そこに逃げた。最初、洞窟の先は行き止まりの空間だった。
タカハシさんが整備して、パリンカに行く時に使った道までつなげていた。
(洞窟の先ズイ道は地震があったときに、せっかく整備したが、崩落しそのメンテナンスをタカハシさんが続けていた。新たな横道が発見されたが探検されていない。これは、崩落前の話)

上でどなり声がした。電話をかけて、林太郎さんがかけつけた。10人ぐらいの中国人がいて洞窟を囲んでいた。リョウさん、タカハシさんが着いた。
電話をコハルにかけた。
林太郎さん「今、どうしてる」
コハル「洞窟歩いてるよ」
林太郎さん「灯りは?」
コハル「携帯の灯りだけ」
林太郎さん「そこに居て。川内のほうから助け行くから」
リョウさんがここに残り、タカハシさんと林太郎さんで川内の方から入った。


進んでもコハルはいない。
洞窟株式会社とズイ道を仕切る扉をあけた。

コハルと、リョウさんとリンちゃんがいた。
「帰ったみでだぁ」リョウさんが言った。
男連れて、どやどや帰ってった。
林太郎さん「ここ入ったのかな?」
コハル「わかんない。でも、荒らされていないから、あの男(長瀬)が目的だったんでしょ。」
イメージ:中国人にひきずり出され、ぼこぼこに殴られる長瀬

その日夕方、林太郎さんは仙台駅で「漢」の姿を見た。ほかに人はいなかった。
洞窟のドアの鍵を厳重にした。


アツシとの会話)
リョウさん「でも、ショウタがアツシくんにあやまらないというのは、アツシくんを近しく思っているかもしんねな」
アツシ「近しく?」
リョウさん「ひとは、近ければ近いひとほどに、素直になれねからや」
アツシ「素直ですか…(アイツはちがうな)」
リョウさん「たとえばや、家族とかに対して『ありがとう』とか『ごめんないさい』とかや」
アツシ「『ありがとう』とか『ごめんないさい』って」
リョウさん「『ありがとう』とか『ごめんないさい』ってのを、言えねぇのっさ」
リョウさん「夫婦とかや、そういう関係がごめんなさいないって言うのがなかなかできねーんだ。とくに、奥さんが強かったりするとや。双方にできね」
アツシ「そうですかね?」
リョウさん「結婚式とかや、お葬式で、ありがとうとか、ごめんなさいとか言うべ?」
アツシ「言いますね」
リョウさん「そういうのが、心をうつべ」
リョウさん「でも、できねぇんだな、、、そういうことってちゃんと伝えるべきなのに、できねんだぁ」


リョウさん、ネットカフェ)
リョウさんが、アツシとネットカフェに行った。
リョウさんはネットカフェデビューだった。
深夜11時なると夜食が出るというので、それを見学しに来た。

そこに向かうエレベーターの中に、荷物を重そうに運んでいるさえない60歳くらいのおじさんと、紙袋を4つ抱えたオタクっぽい40歳くらいのオンナが居 た。
おじさんがエレーベータの出入りでもたもたしている。エレベーターが自動で閉まろうとするので、それをリョウさんとアツシとで開放にしてあげた。
ネットカフェに入った。
11時になり、フリーフードのねこまんまがセットされた。
ごはんは古米っぽかった。ごはんの上に、あげ玉、かつおぶしをかけ、そこに お好みでわけぎを乗せ、うどん汁をかけるというものだった。
リョウさん「案外、いけるね」おかわりに向かった。
さっきのおじさんもそれを取りに来て、軽く会釈をしてきた。

1時間後、同じおじさんと帰りのエレベーターで一緒になった。さっきのオタクっぽいオンナはそのまま中に居るようだ。
おじさんは、「ここ泊まるには高いですね」と言った。
リョウさん「そうですねぇ、いくらになるのかな?」
アツシ「1000円代で泊まれるんじゃないですか?」
リョウさん「ラブホテルも午前3時頃になると安くなるらしいですよ」
アツシ「ほんとですか?」
おじさん「ラブホテル?」
リョウさん「ええ、立町あたりの」
おじさん「タチマチ?ワタシ、***に泊まっていたんですけど」
リョウさん「あそこは高いですよ」
おじさん「ですか?なんか豪華な部屋で」
リョウさん「豪華?スイート?」
おじさん「でも、お金は出してくれた方がいて」
リョウさんはなんかやばそうなヒトだなと思って言葉をそらした。

リョウさん「アツシくん。もう帰るの」
アツシ「帰ります」
エレベータが1階に着いた。

降りると、さっきのおじさんが追いかけてきた。
おじさん「タチマチってどっちのほうですか?」
説明したが、土地勘がないようだ。
リョウさん「どちらからですか?」
おじさん「札幌です」
リョウさん「ああ、なるほど」
結局、立町まで同行するはめになった。

道々、屋台がある。
おじさん「屋台ですね」
リョウさん「ええ、なくす方向ですけどね」
おじさん「博多は、屋台が観光資源ですけどね」

立町に着いた。
おじさん「オトコ、ひとりで大丈夫でしょうか?」
リョウさんは、(こいつホモか?)と思った。そういえば、オトコと泊まっていたって言ってたな。
リョウさん「いや、大丈夫でしょう。デリヘルとか呼べるんですから。入るときは男性ヒトリですよ」
おじさん「デリヘルですか。そんな贅沢は。ワタシへんな詐欺にひっかかってしまって、借金がそれで膨らんで。ホントなら、借金してもいい感じになるはず だったんですよ。アナタもそういう話には注意してください。最初は良かったんですよ、月に30万になりましたから、これでもう働かなくていい感じになって たんですけどね。結局、借金だけ残って。娘、それが原因で出て行きました。お金をつかんで、娘に見直してもらいうまでは合わせる顔がないです。この荷物預 かり物なんですけどね、仙台駅の***ホテルのロビーに持っていくと50万円もらえるって言うんですけど」
リョウさん「重そうですね」
おじさん「ええ、重いですよ。ネットカフェで知り合った男性のかたがいましてね」
リョウさんは(ヤッパリ、ホモか)と思った。
おじさん「そのかた方が、一緒にホテルに泊まってくれないかと。スイートホテルで」
リョウさん「…」(さそっているのか?)
お じさん「自分の名前で取れないとかいうんです」
リョウさん「なぜ?」
おじさん「その理由までは」
リョウさん「で、***ホテルですか?」
おじさん「あ、もちろん、別室ですよ。1つの部屋にベッドが3つあります。風呂はいっしょですけど」
リョウさん「一緒にお風呂にはいることが条件ですか?」
おじさん「いえ、そうじゃなく、お風呂はひとつで。つまり、部屋をシェアリングしてくれればとってあげると」
リョウさん「それって、部屋代の詐欺じゃないですか?あなたの名前で取って、あとでバックれると」
おじさん「そうでしょうか?」
リョウさん「え、ほんとに、バックれた?」
おじさん「いえ、3日そこにいまして、仙台駅の***ホテルのロビーに持っていくと50万円あげますからお願いしますと言われて」
リョウさん「それ、詐欺ですよ。ほら、『カモン・アイリーン/デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ』 のプロモーションビデオにあった詐欺」
おじさん「 アイリーン?キャラ?」
リョウさん「デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズです」
おじさん「 溺死?」



リョウさん「飲食店に入ってきた男性がさんざん食べたあげく、その店の主人にここに荷物置いておくからみていてくれといってそのまま店の外に出るんです。 なにかの入った紙袋をテーブルの上に置いて。で、そのまま帰ってこない」
おじさん「そうですかね?たしかに、こないんですよ、 仙台駅の***ホテルのロビーに。で、もう4日仙台駅の***ホテルのロビーに通っているんです。これ重くって」
リョウさん「なんなんですか?」
おじさん「本です。なんか同和問題とか、天皇系譜とか、昭和の歴史とか言ってました」
リョウさん「確かめた方がいいですよ」
おじさん「ぜんぶ商品として綺麗に包まれていますから。本を訪問して売る商売らしいです」
リョウさん「そういう商売って今もあるんですか?昔は、よく住宅地を回ってましたけど。なんかアメリカの詐欺みたいですね」
おじさん「でしょうか?」
リョウさん「しかし、大変ですね」
あれは詐欺だよ。。。と思いながら、リョウさんはそのおじさんをラブホテルに押し込んだ。
おじさん「まだ、料金が高いようなので、そこらへんで時間をつぶします」
で、離れた。


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